二次創作との付き合い方

二次創作の小説を読んで色々考え始めてしまったのでそれを書いていこうと思う。

私は原作の解釈が下手だ。その物語が伝えたかったテーマを考えたりするが頓珍漢なことを言っているかもしれないし、伝えたかったことを全て汲み取れている訳では無いと思う。そんな私でも大体のストーリーとキャラクターくらいは分かっているつもりだ。

でもどうしても分からないキャラクターがいた。本編を見ても映画を見てもオタクの解釈ツイートを見ても「こういう人だ!」となることは無く、そのキャラクターは周りのオタクからもツイッター上のオタクからも「この人はわからない人だ…」という扱いを受けていた。

二次創作の小説を読んでも、読んでいる途中に「こんな人間か…?」と考えてしまって素直に楽しめなかったし、作品の中で私が違和感を感じずにそのキャラクターが動いてくれただけで感動してブクマしたりした。(普段は好きなシチュエーションの話しかブクマしない。)

そんな日々を過ごしていた時、ある二次創作の小説と出会った。その作品の中でそのキャラクターは全く違和感なく動いてくれた。「こんな人間か?」「そうはならなくないか?」なんて考える暇もなく「あぁ、そういう所あるよね」とか「こういうことしそうだな」とか純粋に作品を楽しめたし、何より性癖にどストライクだった。訳の分からんキャラクターを解釈して二次創作で違和感無く動かせるのが本当に凄いなと思って始めて「あぁ、こういう人が所謂”神字書き”という人なんだろうな」と感じた。

その人の他の作品も読んで、そのキャラクターに対する理解が深まったように感じた。

 

しかしこれは果たして”理解が深まった”と言えるだろうか?

二次創作とは原作のキャラを個人的に解釈し、カッコいい所や可愛い所など自分がそのキャラの好きな所を増長させて分かりやすく表現したものだと私は思っている。

自分がそのキャラを解釈できなかったから二次創作の分かりやすい表現に頼って、他人の解釈で萌えて…それはしっかりそのキャラクターと言えるのか?他人の中で解釈され記号化されたキャラクターを使って、好きなシチュエーションを考えたりイラストを描いたりするのはもはや三次創作ではないか?そんなことを考え始めてしまった。(どエロイ小説を読んだ後だったのに…)

思えば今までも、元々好きだったキャラの二次創作に触れて、より好きになった結果ドハマりするということばかりだった気がする。推しカプができるという現象は特にそれが顕著だ。

そもそも私は腐女子ではない。いや、BLを読むという意味では腐女子と扱われるのかもしれないが、自分でBL妄想をできないし商業BLにもあまり興味が無いので自分では腐女子ではないと思っている。二次創作のBL小説を読むときは「この二人が乗せあってるクソデカ感情に”恋愛”という名前を付けたらこんな感じか~」みたいな気持ちで読んでいる。

これは「好きなことと恋愛感情の違いがそもそも分からない!」だったり「恋愛ってなんだよ!?」という話に繋がって長くなるので割愛。

互いのことを大切に思っていて互いのことが好きな二人のクソデカ感情は恋愛と定義してしまうのが一番手っ取り早くて分かりやすく、二次創作のBL小説はお手軽にクソデカ感情を摂取できて好きだ。…思考がカップリングとは何か?という方向に行きかけているので話を元に戻そう。

 

推しカプができるということは腐女子でない私にとって二次創作から好きになることの顕著な例だ。私は二次創作から好きになることがあまり好きでは無い。二次創作と原作を自分なりに解釈した上で見るものであって、二次創作で作られた話をみて「このキャラが好き」とか「この作品(原作)が好き」というのは少し違う…というか原作との真摯な向き合い方では無いんじゃないかと思う。

私が理想とする原作との付き合い方は原作を見て、自分で噛み砕き、自分の解釈をしっかりと作った上でオタクと交流したり二次創作を楽しむことだ。自分の解釈が全く無いのに他人の解釈を聞いて、それが刷り込まれてしまったらそれはもう”自分”の解釈では無いように思う。

ただ、まだまだ未熟なので自分では解決できなかったり納得できなかったりすることがよくあり、その度に色々な本を読んで知識を付けたり、もっと生きて人生経験を豊富にしたりして精進しなければなぁ…と思う。自分で納得できる解釈ができるようになりたい。

「他人の解釈に引っ張られたくない!でも自分じゃ分からない!そもそも私が今までハマってきたものって全部二次創作から好きになってない!?Beyond pien paon」みたいな気持ちでこれを書き始めたはずなのに、思考がぐちゃぐちゃしてきたのでここらへんでやめておこうと思う。

「二次創作で作られる世界は分かりやすくて楽しいんだけど妄想力が強い人ほど説得力のある捏造を出してくるから頭の弱い私はそれに引っ張られて辛い」という話がしたかったのだが、二次創作が嫌いな人みたいな文章になってしまった。

二次創作が嫌いなのではなく、原作にない二次創作の解釈に引っ張られてしまう自分が嫌なのだ。いつか自分で二次創作ができるくらいの理解力を持てるように頑張っていこうと思う。

 

2020/11/11/2150文字